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【コラム】社長の自宅住所が公開されている?

2025/03/20
【コラム】社長の自宅住所が公開されている?

 前記事で解説した「代表取締役等住所非表示措置」が存在する理由。 それは、その措置を講じないと、社長の自宅住所がオンライン上で公開されてしまうからです。
 これには衝撃を受けました。 会社社長にプライバシーは無いのでしょうか。
 しかも、原則非公開の流れがあったにも関わらず、実現しませんでした。その理由がどうも…。
 これは個人情報保護の観点から大問題と考え、本記事で見解を述べます。
【コラム】社長の自宅住所が公開されている?


代表取締役等住所非表示措置とは


 前記事と重複しますが、 代表取締役等住所非表示措置について、本記事でも改めて解説します。
 公的機関から取得可能な会社情報の中にある、代表取締役の自宅住所を非表示にするものです。 完全非表示ではなく、以下の写真のように、番地が表示されず、筆者の場合だと「区」までの表示になります。 ※モザイク加工は筆者が実施したものです
【コラム】社長の自宅住所が公開されている? fig.2  逆に言うと、この措置を講じていない会社は、会社社長の住所が番地まで詳細に記載されています。

誰でも会社情報を取得できる?


 前述の会社情報は、オンライン申請して数百円出せば、誰でも入手可能です。 この資料は郵送されたものですが、これとは別に、会社情報をオンラインで閲覧できるサービスもあります。
 入手には閲覧者の情報が必要ですので、日本人限定でしょう。 また、もし人間による監視が入っているなら、悪用される可能性は低いかもしれません。 有料なのである程度の敷居はあるでしょう。
 しかし基本的には誰でも、数百円で好きな会社社長の自宅住所を入手できるのです。
 筆者はこれを知った時に背筋が凍りました。 つまり、会社社長の自宅住所は公開されています。

バラしちゃってよいの?


 会社社長の自宅住所を簡単に入手できるということを、記事に書くかは正直迷いました。 筆者は少し前までまったく知りませんでしたし、 あまり知られていないからこそ成立している可能性があるからです。
 しかし 現状が以下のため、むしろ問題と認識する人が増えた方が良いのではないかと思い、記事を書くことにしました。
  • 公的機関が正式に提供している機能
  • 知っている人は知っている(悪用するつもりなら既に悪用できる)

悪用しないようにお願いします


 具体的な入手方法の記載は、本記事ではさすがに控えます。 悪用はしないようにお願いします。

原則非表示にしようという動きがあったらしい


 2022年には、オンライン閲覧については原則非公開にしようという動きがあったようです。 個人的には良い落とし所だと考えますが、施行されませんでした。 日経新聞のこの記事に記されています。 DXとぶつかったとのこと。

DXとは


 DXというのは、デジタルトランスフォーメーションのことです。 政府はデジタル庁を設置し、デジタル技術を活用することで、起業の競争力や社会の利便性を高めようとしています。
 しかし、何でもかんでも便利にすれば良いわけではないのです。

パブリックコメントは賛否両論


 このときのパブリックコメントがこちらです。 内容を読むと賛否両論です。
 個人情報保護の観点での賛成もあります。
 一方、社長の住所が非公開になることで、透明性が損なわれるという反対意見もあります。 確かに、不正な会社の増殖を抑制するために、この点は重要です。

DXと反対の施策という意見


 このパブリックコメントの中に、例えば「政府が唱えるDX等と反対の施策であり」など、DX化に逆行することを問題視する指摘があります。 前述の報道と合わせると、オンライン閲覧時に原則非公開の施策が施行されなかったのは、これが根拠になっている可能性がありそうです。

DX化の流れ


 ここでDX化の流れについて考察します。 筆者は以下と考えます。
段階
内容
効果
1
デジタルデータ化
情報を処理しやすく
2
ネットワーク化
情報を入手しやすく
3
適切な情報管理
個人情報の保護等

1.デジタルデータ化


 情報をデジタルデータにすることで、コンピューターが扱えるようになり、 大量の情報を短時間で処理できるようになりました。

2.ネットワーク化


 デジタルデータ化された情報をネットワーク経由で扱えるようにすることで、 情報の検索や入手が容易になりました。

3.適切な情報管理


 デジタルデータ化およびネットワーク化により、利便性は格段に高まりました。 しかし一方で、個人情報など、本来は入手が容易になってはいけない情報までもが、簡単に入手できるようになりました。
 各種情報は、その性質により、適切に管理される必要があります。
 この流れを受けて、世界的に法律が整備されました。 日本でもいわゆる「個人情報保護法」が施行され、プライバシーへの配慮がなされています。

個人情報保護はDX化の流れに沿う


 つまり、個人情報保護は、むしろ、DX化の流れに沿った適切な施策と言えます。 報道の通り、DX化と逆行するという意見を受けて、社長自宅住所のオンライン閲覧の原則非公開を取りやめたのであれば、それは間違いです。
 会社社長のプライバシーも適切に保護されることを、切に願います。

デジタル庁が反対したという報道が事実であれば由々しき事態


 法務省が、個人情報保護を「DX化に逆行する」と勘違いしたのであれば、百歩譲って仕方がないかもしれません。 そもそも法務省は、個人情報保護を進めようとしていました。
 しかし報道の通り、本当にデジタル庁が反対したのであれば、個人的には、由々しき事態だと考えます。
 それはつまり、DX化を推進すべきデジタル庁が、個人情報保護がDX化に反するという誤解をしていることになります。 例えば、マイナンバーカードは利便性が高く良いシステムですが、その個人情報が適切に管理されているのか、とても不安です。

原則非表示になって欲しい


 個人的には、社長個人の自宅住所は原則非表示になり、「代表取締役等住所非表示措置」が不要になることを期待します。 現在は、この規則ができた時代と異なり、簡単にその住所に移動できるなど、プライバシー侵害のリスクが増しているからです。
 透明性の確保については、一定の手続きを踏めば閲覧できるようにする形が、良いと考えます。 例えば銀行が融資のために素姓を確認する等は必要でしょう。
 プライバシーポリシーのしっかりしている会社が閲覧することについては、まったく問題ありません。 不特定多数の人が、悪用目的であったとしても、入手できてしまう状況が問題なのです。

まとめ


 本記事では、オンライン申請+数百円で、誰でも、会社社長の自宅住所が簡単に入手できる問題について紹介しました。
 理由が報道されている通り「DXに反する」なのであれば、認識が間違えています。 「個人情報保護はDX化に必要なステップの1つ」です。
 個人的には、むしろ現状が、個人情報保護法違反にならないのかと思ってしまいます。 専門外ですので単なる疑問でしかありませんが、正直なところ、憤りを感じています。

補足


こちらの記事も参考にさせてもらいました。
・画像内のラスタライズ文字フォントにOpen Font LicenseNoto Sans Japaneseを使用しております。
・(本記事公開後)透明性確保の必要性について補足しました。

カテゴリー:設立登記,スタートアップ